[スタートアップインタビュー] インド初、人の感情を認識するAI「Entropik Tech」

人口が急拡大し、2025-30年ごろに中国を抜き世界一になるといわれているインド。インフラの整備もまだまだこれからで、マーケットそのものの規模の拡大はもちろん、様々な領域でビジネス機会、イノベーション機会が拡大しています。

シリコンバレーで経験を積んだイノベーターたちが一旗揚げ、故郷に戻ってきてエンジェル投資家になったり、再びスタートアップに身を投じるケースが増え、インドのスタートアップ環境はここ数年でシリコンバレーに匹敵するほどになっています。ソフトバンクビジョンファンドの超大型投資を受ける企業も多く排出しており、インドのスタートアップは世界中から最も注目されているといっても過言ではないでしょう。

本稿では、「感情」といった外からは見えない人間の繊細な心の動きを、データによって分析する感情認識AI技術を開発する「Entropik Tech」のCEO、Ranjan Kumar氏に話を伺いました。


Entropik Tech – 感情認識AI

https://entropiktech.com/

https://www.youtube.com/channel/UCw0wW9HKZ70VhBdzA6JprYg

Entropilk Techは、AIによる感情認識技術を提供するスタートアップ。眼球の動きや表情、脳活動のマッピングをデータ化、分析することで人間の感情を理解し、人間の意思決定に関わる深い洞察力を取得可能にする。

CEOインタビュー

Ranjan Kumar

CEO and Founder

インド工科大学でソフト・ニューラル・コンピューティングの学位を取得。学部のプロジェクトでソフト・コンピューティングと感情認識をテーマにして以来、この分野に関心を持つようになる。2012年にOyeParty.comというバー(飲食店・ナイトクラブ)のアグリゲータープラットフォームを設立、2年後に事業を売却。大手コンシューマ企業にも勤務経験をもつ。

 

━━起業のきっかけは?

飲食店のアグリゲータープラットフォーム事業を行なっている際、事業の立ち上げ・管理において消費者の意志決定や行為にまつわる様々な疑問が出てきました。消費者の意思決定や行為を理解する事は企業にとって基本的な課題であり、この分野における技術の活用が遅れていると感じました。その課題に対し、特許価値のあるソリューションを提供したいという思いで、Entropik Techを設立しました。

━━サービスのバリュー・プロポジションは?

人間の感情を理解するため、眼球の動きや表情の追跡、脳活動のマッピングのデータを収集。上記のデータポイントより人間の意思決定に関する深いインサイトを取得することができ、大手コンシューマ企業にとっても貴重なデータとなります。意思決定の際、コンテンツ(オンラインストリーミングコンテンツ、映画、広告、ビデオなど)をどのように消費するのかといった重要な課題に関する洞察も見出せます。

Entropikは1つではなく、3つ(眼球の動きの追跡、表情の追跡、脳活動のマッピング)の重要なデータを収集しているため、マルチ・モーダルであるコンシューマーマッピングソリューションをプラットフォームの形で提供しています。ネットフリックス、StarTVのような大手エンターテイメント企業、映画スタジオなどをクライアントとし、映画・番組のトレーラーを最適化するため、プラットフォームの眼球の動きの追跡ソリューションを活用しています。さらに、潜在意識におけるユーザー行動または嗜好を理解するためEntropikの感情AI技術を活用し、コンテンツの制作者によって投資利益を最大化することに繋がります。

Entropikのソリューションは、広告コンテンツ、飲食、音楽、小売体験など様々な業界に対するユーザー行動洞察を提供しています。その他にも、Entropikが開発した装着可能なデバイスを利用し、認識されたデータポイントを追跡し、Entropikプラットフォームに埋め込まれている行動研究フレームワークを通して動きを洞察することも可能です。販売(物流)コストの高い企業に迅速に実装できるプロダクトであるため、理想的なソリューションと言えるでしょう。

━━日本市場や日本企業へ期待することは?

日本市場に大変関心があります。Entropikはスズキ・トヨタなどの自動車会社や電通といった日系企業もクライアントとしてます。日本はロボティクスの最先端の国であり、ハイテックイノベーションに高い関心を持っているため、Entropikの事業展開において、関連市場であると同時に、大切な市場だと考えています。

━━競合企業は?

インド国内では競合企業は存在しません。海外では同分野で4〜5社の競合企業がいます。活用されるレベルではありませんが、コアの知的財産のレベルで競争が激しい領域です。

Entropikの強みはマルチ・モーダル分析を実現すること。つまり、眼球の動きの追跡、表情の追跡、脳活動のマッピングの3つのデータ収集により感情の解析が行われています。カメラを利用して表情を追跡し、脳マッピングデータによって表情の定量化が行われます(表情は文化的なニュアンスが存在するため)。この方法によって微妙なマイクロエモーションの検出が可能になります。

Entropikが開発されたウェアラブルデバイスがワイヤレスであり、リアルタイムでより迅速にテストの実行ができます。
それらの強みが他社との差別化要因になると考えています。

━━資金調達ラウンドは?

2016年にシードラウンドにて米ドル20万、そして、2018年に有名なファウンドの2社Bharat Innovation FundとParampara Fundより米ドル110万を調達しました。


AI技術の発展が著しい昨今、ビジネスをする上で人の感情のデータ分析をするのは当たり前と呼ばれる時代が訪れつつあります。

日本でも、音声・映像認識に続き、人間の感情認識の分野においてもその性能は十分に実用に耐えるレベルにまで向上し、すでにモバイルアプリケーションやゲーム・ロボットといった製品をはじめ、広告・教育・ヘルスケア業界などへも導入が進んでいます。

アメリカ、中国についで、世界で3番目に多くのAI技術者が生まれているインドも例外ではありません。感情分析市場は世界中で今後さらに拡大していきます。それと同時に、インドにおいても、Entropik Techのような感情AIを専門とするスタートアップが次々と誕生し、様々な分野へと展開していくことが予想されます。

2018年に日印間でAI技術共同開発が合意されたことにも象徴されるように、今後この分野においては、スタートアップの相互進出も含め、日本とインドが協力し先行する欧米を追いかけ、国際競争力を高めていく必要があるのではないでしょうか。


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