[スタートアップインタビュー] ケニアのモバイル郵便サービス「MPost」

アフリカのスタートアップ市場が盛り上がっています。インフラが未整備でありながら、人口増など急成長の可能性があるマーケットとして注目されていることはもちろんですが、新興国ならではの課題に対してリープフロッグ・イノベーションを実現し、それを先進国へと展開する「リバース・イノベーション」という側面においても期待は高まっており、世界からの投資も集まってきています。

本稿では、郵便サービスにイノベーションを起こすモバイル郵便サービス「MPost」のTaz Technology CEOのAbdulaziz Mohamed Omar氏に話を伺いました。


MPost – モバイル郵便サービス

http://www.mpost.co.ke/

MPostは、住所がない人達に携帯電話を持っていれば郵便が受け取れるようになるサービスを提供しています。顧客には固有の郵便番号が付与され、顧客の近くの郵便局に郵便物が届くと、自動で受け取るかGPSを利用した直接配送サービスを利用するかを選ぶことができます。eバンキングサービスを通じて商品の代金を支払うこともできます。

CEOインタビュー

Abdulaziz Mohamed Omar
Taz Technology, CEO

大学では、経営戦略論, 社会福祉運営管理を専攻。ケニアの国家公務員として経営戦略および国際業務に携わる。金融資産当局の戦略担当責任者としての経験を持つ。2016年、ナイロビ、ケニアにTaz Technology Inc.を創業。イノベーティブポスタルサービスMPostにおいて、技術特許を取得。

━━起業のきっかけは?

修士号を取得後、私にとってのドリームジョブであった政府関係の仕事に応募し、面接を受けました。

面接結果や役所とのコミュニケーションは全て手紙(郵送)で送られてくるのですが、当時自分の郵便アドレスを持っていなかったため、500km離れた別の街に住む親戚のアドレスを使わざるを得ませんでした。

そのせいで、面接結果の手紙を手にしたのは、手紙が送られてから3ヶ月後でした。面接は合格していたにも関わらず、期限内に返信できなかったせいで、せっかくの夢の職業への就職のチャンスを逃してしまいました。

その苦い体験がきっかけとなり、ケニアにおける郵便システムの問題を解決したいと強く思い起業し、建物も、郵便ポストも必要ない、携帯電話さえあれば、それが自分の(バーチャル)ポスタルアドレスとして利用できるシステム「MPost」を立ち上げました。

編集部注:ケニアで最初に郵便局がが設立されたのが1892年だが、2016年にMPostを創設するまでの124年間に国が提供した郵便アドレスは5000万人以上の人口に対したったの40万アドレス。村にアドレスが1つ(教会やモスクなど公共施設のみ)であったり、住居場所が点在するにも関わらず親戚全体でアドレスが1つという状況が普通で、アドレスにアクセスできる人はケニアでは人口の約1%。世界中で40億人の人が未だ自分の郵便アドレスを所有していない(Universal Postal Unionより)。

━━サービスのバリュー・プロポジションは?

1. Accessibility ー 携帯電話さえあれば、誰でもポスタルアドレスにアクセス可能に

2. Conveniency ー 携帯を通じて通知を受け取ることができる。またあらゆる施設(学校、商店など)で郵便物の受け渡しが可能

3. Affordability ー 従来の政府郵便システムは使用料$50/年に対し、MPostは$3/年

4. Efficiency ー 郵便物を受け取りまでの時間と労力の削減

5. Security ー 郵便物がどこにあるのかが分かり、紛失の防止、安全性の向上

━━日本市場や日本企業へ期待することは?

日本を含めた西洋の既存の郵便サービスは、固定された地理的アドレス(メールボックス)に届けられるシステムであるのに対し、MPostはバーチャルアドレスです。

つまり、旅行先や海外でも、携帯でアドレス住所を変更すれば、自分の居場所に合わせて郵便物の引き取りを可能にします。そういった意味でも、海外での市場拡大の可能性はあると考えています。

━━競合企業は?

ケニアの国営郵便局(郵政省)です。競争相手でもあるが、MPostは技術特許を持ち、また技術とオペレーションのノウハウがあるため、現状としてはケニア及びウガンダの郵政省のパートナーとして協業しています。また、国はサポーターとなりつつある。

今後アフリカの他の国にも広げていきたいと考えております。現在、Universal Postal Unionもこの技術に興味を持ち、UPUからグローバル展開のRecommendationももらっている状況です。

━━資金調達ラウンドは?

シリーズAで金額は非公表です。

━━現在のチームは?

現在ケニアに11名、ウガンダに3名、平均年齢30歳前後の若い人材でチームを構成しています。

CTO及び共同創設者のTwahir Mohamed氏は、IT Scienceの学位を持ち、2015年にはケニアにおけるテックコミュニティで輝かしく貢献した人へ送られるTech community appreciation awards を受賞しました。

COOのFelix Gichaga氏は、銀行、ビジネス戦略、金融トレードに精通しており、Taz Technologyでも経験と知識を活かし国際事業開発、投資関係を担っています。

また、Kenya Methodist Universityで金融博士号を持つDenis Nene氏は金融、アドミリーダーとして業務に携わっています。


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